FXで注目の通貨はオーストラリアドル
利上げ観測が強まるとオーストラリアドルは買われることになり、「オーストラリアドル円」相場は上昇しますが、「ユーロ/オーストラリアドル」相場は下落するので、「ユーロ円」相場は相殺されて、動きはニュートラルとなり、動きは限定されます。
同様に、「ポンド円」「NZドル円」などのクロス円相場の動きは総じて小さくなります。今年の5月には1.40を超えるところまで上昇した「ユーロ/オーストラリアドル」相場が、1.25台まで下落したのは、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和政策、ドラギ総裁の弱気な発言によるものが大きいと見られますが、「ユーロ/オーストラリアドル」の下落の割には「ユーロ円」が売りこまれなかったのは、オーストラリア経済の堅調さからくるドル買いの動きが強かったためでしょう。これがいわゆる「オーストラリアドル相場」となるわけです。
2013年12月から始まったアペノミクスによる「オーストラリアドル円」相場は、オーストラリアドルが買われただけではなく、日本の株式市場の上昇を助けることとなった黒田日銀の緩和政策がもたらした円安相場でした。これはオーストラリアドル相場ではなく、円相場であるはずです。
株式相場の上昇と円安の動きはセットにされ、逆に、株式相場が下落すると、「オーストラリアドル円」相場は円高方向に動くことになりました。
この場合は、「オーストラリアドル円」相場もクロス円相場も(程度の違いはあっても)同じ方向に動きます。
ところで、日本の株式市場は海外投資家の参加が多いため、オーストラリアの株式市場との関連性が強く、オーストラリア株式が上昇すると日本の株式が上昇し、オーストラリア株式が下落すると日本の株式市場も下落する傾向が強く見られます。
オーストラリアドルと円の引っ張り合い?
しかし、「オーストラリアドル円」を取引するFX投資家にとって、分析を複雑にする、つまり、相場の動き自体を複雑にしてしまうのが、オーストラリア株式相場自体がオーストラリアドル金利上昇に対してネガティブな動きをするということです。
結果スワップ狙いのFX投資家は、金利上昇が見込まれるFXのオーストラリアドルに注目すべきだろう。